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2008年3月9日日曜日

[お薦めの本]「脳を活かす勉強法」茂木健一郎

脳を活かす勉強法」は「アハ!体験」ですっかりおなじみになった、茂木健一郎氏の本です。サブタイトルに「奇跡の『強化学習』」とあるのですが、これがこの本のキモのようです。



要するに「勉強」を嫌だと思わずに一生懸命やってみて、誉められて、さらに好きになって一生懸命やる、というサイクルを繰り返すことで、脳の学習機能を最大限利用できる、ということだそうです。

茂木氏自身は「最初から一番ではなかった」けれど、最終的には「クラスや学年で一番になっていた」とこの本で語っています。じゃあ、どんなことがあれば「一番」になれるのか。

それは、「勉強のしかたが分かったから」に尽きます。[p.7 「はじめに」より]

勉強の仕方が分かったから!考えてみると凄い。「内容が分かったから」じゃなくて、「勉強の方法が分かったから」これは無敵ですね。やり方さえ分かるんであれば、ターゲットとする内容をその方法で処理していけば結果が出るわけですから、確かに賢いと言えます。

その賢いやり方とは何かは、本を読んで頂くとして。茂木氏ほどの強烈な体験にはなっていないかもですが、似たような経験をしたことがあります。

私は理系選択でありながら数学はずーっと苦手でした。高校時代の初めは言語学かなにかを勉強したいなとぼんやり思っていたのが、友人が使っていたコンピュータ(プログラム電卓でしたけれども)に開眼し、それから理系に進むことにしたわけです。なので、数学の基礎っていうのがあまり出来ていない状態で、数学の受験勉強もあまり進まない始末。(そのわりには「数学セミナー」を読んで、「美しい(?)」数学の世界にあこがれていましたが…)成績はあまり良くない。はっきり言って不満足。でも「嫌いにはならないでおこう!」とずっと思っていました。物理にしても化学にしても、成績は良くないけど、嫌いにはならない。それは一緒でした。

大学に入ってからのある日、たぶん電気回路か制御理論かなにかの問題を解くレポートを書いていたときのことです。大学の何年生だったか…忘れましたが。

電気回路があって、ある波形を入力したときの応答を導く問題でした。式を立ててみると、ものすごーく、面倒くさい数式です。基本形を合成して方程式を解けば回答できる筈なのですが、なかなか回答できない。対数だの指数だののオンパレードで、微分積分の操作が旨く行かない。そうこうしているうちに徹夜態勢になり、朝までずーっと式を変形し続けて、少し寝て、また朝起きて電車の中でも考えて、授業中もずーっと考えて、昼休みもご飯を食べながら考えて(じゃないとレポートの締切に間に合わない!)、午後最後の授業の時も内職しながら考えて、やっと満足のいく波形になる式ができました。レポートはぎりぎりセーフで提出できたのでやれやれでした。本当はもっと綺麗に整理できたらしいんだけど、とにかく自分の力で解けたというのが凄く嬉しかった。そんなことがありました。後で先生がレポートを返しに来てくれたときにもっと綺麗な式の変形を先生が教えくれたのですが、わざわざ丁寧に教えてくれるとは思っていなかったので、それがとても嬉しかった!成功体験ではないけど、このような体験が「強化学習」の入り口にはなっているような気がします。

その後あまりそういう集中力は発動されていないけど(デバッグで「はまった」ときと、大学院に行くときくらいか?)物凄く嬉しくて、数学っていいなあと思って(電気回路の授業ではなく(笑))以来、あまり近い知り合いではないにしろ、少し話したことがあって「いいなー」と思ったちょっとあこがれのあの人、くらいのポジションに数学がいるわけです。

思えばあれが「フロー状態」というものなんだなぁと思います。全然眠くないし、楽しくて辞められない。解けないと気持ち悪くてほったらかしておけない。そんな感じだったと思います。ずーーーーっとひたすら考えている状態っていうのは、想像以上に気持ちのよい状態だというのは良くわかります。

でも、そうそうあの状態が訪れるとも思えません。最初はいやいやでも、はまると続くのですが、最近はなかなか難しいものがあります。そこでこの本で注目したいのは、第6講の「脳のコンディションを把握しよう」の中で言及のある方法です。自分の脳をモニタリングする作業は、自分にしか出来ないとあります。これをせずには「フロー状態」に入る自分も分からないわけで、どこをどう「強化」していけば良いのかも分かりません。このことが余り今まで自分自身できていなかった様な気がします。ではどうコンディションをモニターすればいいか?

Life Hack の方法で「ユビキタス・キャプチャー」と言われる方法があります。自分の考えたこと、行動したことなど、なんでもかんでも記録をとるという方式で、「忘れるための安心感」を得るために実践するらしいのです。これが「脳のコンディション」のモニタリングにも役に立つのでは、と思います。どういう方法でモニターするかについては「脳を活かす勉強法」のなかでは十分には言及されていないのですが、目標を達成したいのであれば「何が苦手なのか」「何が得意なのか」を自分でいつも問う必要があるでしょうし、それを忘れないで後で確認される為にも、「ユビキタス・キャプチャー」は役に立つように思います。(考えてみれば、レコーディング・ダイエットもその一種ですね。)

問題集を解いた後に「この問題は易しい」「この問題はまだよく分からない」といったことも書いておけば、たとえ正解してもずいぶんと違うのではないでしょうか。書いておけば、あとで自分のドーパミンのスイッチがどの辺にあるのかも探しやすくなるかもしれません。

というわけで、本のオビにもある「あなたの脳は、年齢、環境に関係なく、飛躍的に成長する!」という惹句を信じて、是非日々の実践に取り入れてみようかと思います。

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