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2008年3月23日日曜日

日本で Life Hack が流行する理由

昔は Tips と呼ばれていたようなことから、「仕事の段取り」と言われるようなものまで、みんなひっくるめて Life Hack とか Life Hacking とか頻繁に言われるようになって2年くらいになるでしょうか?ここ 2 年くらいでどうしてこんなに流行ってきたのかについては諸先輩方がいろいろな考察を加えていると思いますが、私も考えてた事をメモっておこうかと考えました。

  • PC の使用が一般的かつ強制的になってきた
    →使えないと仕事にならない
    →仕事の段取りがコンピュータ利用を中心として回っている
  • PC を使いこなすには「技術」が必要
    →プログラマである必要はないが、利用するアプリケーションソフトの使い方ぐらいは知っている必要がある
  • 今働き盛りの30代〜40代は義務教育や高等学校教育で計算機を学んだり使ったり機会がほとんどなかった
    →自分でなんとかしないと、PC が使えない=仕事ができない、世の中の動きに置いて行かれる
    →ある意味、ディジタル・ディバイドな要素を持った世代
  • 以前は秘書や部下にやらせていたような事も、人員削減等で自らが出来なければいけないことも多くなった
    →会社も自分でやらせる方向に持って行って人件費や経費の削減を続行させようとする圧力をかける
  • パソコンと GUI (Desktop メタファー)が登場して以来、見た目にわかりやすくなって、コンピュータを使うための経済的、心理的な敷居が下がった
    →Mac, PC/AT, Windows, Linux 上の GUI, etc.
  • 工場の機械化がほぼ完成し、次はオフィスの作業の機械化となった
    →効率や生産性重視になると、どうしても作業を機械化して人件費をさげ、社員一人あたりの生産を効率化させる必要がある
  • 成果主義/能力主義の評価方法の導入で、自ら生産性を上げるための方法論が必要になった
    →質を上げるのはなかなか難しいが、7〜8割の出来で早く仕事を終わらせることができれば、その方が比較的容易に目標を達成できる
    →「早さ勝負」なら、PC をうまく使って終わらせた方が、処理した「情報」が自分の「資産」として残るので、あとあとの効率も良い


長い不況でリストラで減った人員を補充する体力も無かった企業が数多くあった中、能力以上の仕事量をこなすためには、業務の見直しも含めて、システマティックな対応が必要になっていた可能性が考えられます。機械を人間の業務に最適化するよりは、人間を「Life Hack」という方法論で縛った方がよほど効率的に業務や知的生産効率を最適化できるので、手っ取り早い方にみんなが流れて行ったと考える事もできるんじゃないでしょうか。

こう考えて行くと、日本で流行っている Life Hack は「仕事」の段取りや処理についてフォーカスしていて、どうも私には Life を Hack しているように感じられません。「仕事の段取り」を Hack している、というのなら「うんうん」とうなずけるのです。

それに対して、アメリカの方の Blog 記事を見ていると、もっと健康やメンタルな部分であるとか、生活の部分であるとか、そういう所にもフォーカスされていて、私は「Life Hack」という言葉により近い、共感できる内容のものが多いのです。日本の Life Hack は、まだ Mac が最初に出た頃に言われた Tips や ファミコンが出てきたときに言われた「裏技」の域を出ていないように、私は感じるのです。Life Hacker と言われる方々や本の著者にバリバリ働き盛りの男性方が多いのも、日本で「仕事 Hack = Life Hack」になってしまっている原因があるようにも思います。

もっとも、ビジネス書を売ろうと思ったら、Life Hack で生み出した時間を「のんびりまったり」されるよりは、もっと働け〜という圧力に転じた方がよほど売れそうです。この辺が「仕事 Hack」になっている本当の原因かもしれません。そうだとしたら、働く女性が書いた本であっても、大きな違いは無いのかもしれません。

「Life Hack」と言う言葉は、恋愛論や結婚や人生観についての本と、カリスマ主婦が書く掃除や整理の本と、PC の使い方を仕事の段取りを含めて指南する「仕事 Hack」の本、という通常の書店では別々の売り場になっていそうな内容が合体して初めて「Life を Hack する」と言えるのではないでしょうか。まだまだステレオタイプな「Hack」の棲み分けがされているようです。言葉の使い方に関する言語的な違いが反映されているようでもあるし(英語は抽象的、日本語は具体的に言葉を作ったり使う傾向がある等)、欧米との習慣や人生観の違いを感じる部分でもあります。

というわけで、私は日本で流行っているのは Life Hack でなく、ほとんどが Tips だろうと言いたい訳です。 GTD の様に、日々の雑用や主{夫|婦}仕事からお金を得るための仕事までぜーんぶ片付けようとするなら、それは Life Hack と言ってもいいと思いますが…どうもそこまで徹底しているようには思えないかな、というのが、昨今の状況に対する現時点での感想です。

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