最近またサマータイムの導入に関する話が政治家の間で盛り上がっているようです。省エネルギーは結構なのですが、サマータイムを導入することで、本当に「省エネ」になるのか?と、私は疑問に感じています。その理由は主に3点あります。
1.サマータイムを導入する「コスト」はリーズナブルなんだろうか?
ただ時間を1時間前にずらしたり後ろにずらしたりするだけではありません。私はシステムを設計したりする立場から「無理ではないけど、システム改修にかかる金額は莫大なものになる」と考えています。ネットワークのタイムサーバを用意できる大企業ならまだしも、スタンドアロンで動いているようなシステムの改修って、どうするのよ?と思います。パソコンのパッケージものもしかり。個人と法人での対応には温度差が出ることも考えて、ネットワーク上の時刻の「混乱」が生じることはまず間違い無いと思います。金をかけてシステムを一年に二回時刻を変えなければならない「サマータイム」対応にすることが、果たして「省エネ」になるのでしょうか?
2.サマータイムを導入して「残業」が減るんだろうか?
ある主張によれば「一時間前倒しで働けば、残業も減る」のだそうです。本当でしょうか?恒常的に残業しなければならない職場はIT産業ではざらに有ることです。夏時間に出社が早まることで、労働時間がさらに長時間化することが懸念されます。もっとも、不当な残業を減らすことは、サマータイム導入に限らず、企業と労働者が協力して行わなければならないことです。それを避けるための仕組み作りをする気概が、いまの企業にはあるのでしょうか?
3.サマータイムを導入しなくても、もっと根本的な「省エネ」が出来るんじゃないか?
サマータイムはどちらかというと「対症療法」で、エネルギーの高騰や不足について根本的な解決にはならないのではないか、と、私は現時点では心配しています。団地の屋根やビルの屋上すべてに太陽電池パネルを設置したり、そのための交付金や環境税(を今後かけるとして)の控除などのメリットを出してやる方が、よっぽどエネルギー獲得になるんじゃないか。
あと思うのは「サマータイム」をわざわざ導入しなくてもいいのではないかということです。システム改修のコストを考えれば、企業や官公庁などのパブリックな始業時刻を変更するほうが良いのではないかと思います。仕事の時間が9時5時なら、8時4時にするとか。フレックスタイムが導入できたんだから、こっちも導入可能でしょう。ただし、テレビやラジオなどのメディアは視聴者層の変動でかなり困るかもしれません。
どーも、昨今のサマータイムの話は、こうした疑問に答えてくれていないような気がします。政府や役人の音頭で導入に向かって突っ走るような無理な事をするのではなく、誰もが受け入れやすい環境を整えることをまず考える事の方が先なのではないか?と私は思います。無理をして導入しても「継続可能」「維持可能」でなければ、お題目である「温暖化防止の対策」の意味がありません。お金と人手がいなくて悲鳴があがっているような所を更にシステムの対応だなんだと追い打ちをかけるような事にならないように、仕組み作りを考えて欲しいものです。
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